真珠・サンゴは、海の産物ですが、サンゴと言えば、気候の温暖な温かい地域に生息する海洋生物かと思いきや実は、世界の産出量のほとんどが欧州のバルト三国なのだそうです。
一年を通して暖かいとはいえない、むしろ冬は寒いこの地域(フィンランド・ノルウェー・スウェーデン)の海では、メキシコからの暖流の恩恵で海水温が比較的温かいためにサンゴ礁が形成されたのだそうです。
一方、この地域は以前から漁業が盛んで中でも地引網漁が中心となっていました。
ところがある時、急に魚が採れなくなったという漁師が後をたたなくなりました。
実は、この地域に代々伝わるいい伝えが歌になったものがあり、そのワンフレーズは
「魚は美しいサンゴ礁のある場所に集まり、そのサンゴ礁のある漁場は豊漁である」
というものでした。
ここで、サンゴ礁が破壊されてしまっているのではないかと気づきます。
そうです、地引網漁の際に海底から根こそぎ網を引く為にサンゴ礁を破壊していたのです。
しかし、漁師達は皆、魚が採れなくなったのはこれが原因だということを実は薄々感じながらも効率的な漁を行うにあたり地引網漁の魅力は捨てがたく生きる術としては、そう簡単にやめるわけにはいかず、口にされることはほとんどなかったそうです。
しかし数年前、彼等はこの考えを見事捨て去り、自分たちの漁場を孫子の代までさらにその後までずっと続くように、自然の恩恵を授かる為には、今の生活水準ばかりではなく、環境を保護する事こそが自分たちのやるべきことだと思い立ったのです。
この時点ではまだ地引網漁が原因であるという科学的根拠はなかったのですが、彼等は大学の研究室に手紙をしたため、事の重大さを訴えました。
これを知ったこの大学の博士が実態調査に乗り出し、漁師たちと協力して環境保護団体をつき動かし、政府をつき動かし、地引網漁を禁止し、サンゴ礁を保護する自然保護法が制定されます。
実はこの時、もうひとつの問題がありました。
海底には石油運搬用のパイプを通す計画があり、それがなんと一部のルートがサンゴ礁を分断するものでした。
これも漁師たちの自らの生活の糧を減らしてまでの熱い思いが経済界にさえ感動を呼び、経済界としては思い切った決断をしました、ルートを変えたのです。
日本円にして数千億円というコストをかけて。
これは世界に誇るべきことであり、全世界に是非広まって欲しいマインドです。
最初は人一人の心が周囲をつき動かし、その想いが次第に広がって漁師達が一丸となり、学者達が参加し、フィンランドの漁業、石油業界、フィンランドの、ひいては、ヨーロッパ経済全体に与える影響も大きかったこの難関を見事乗り越えたのです。

